あらすじ
僕は布団の中でまどろみながら、葵がやって来るのを待つ。
最愛の妹に朝起こされる、それは僕にとって至福の時だ。
ドアがノックされる音とともにドアノブがガチャッと音を立てた。
この後には葵が、僕の部屋に入ってきて、身体を軽く揺すって声をかけてくれる。
……筈だった。
しかし葵は僕の部屋に入ってくる事も無く、開けた扉から。
「もう朝だよ、さっさと起きてよね」
完全に冷め切った声でそう言い放つと、部屋の中に一歩も足を踏み入れないままに、バタンとドアを閉めた。
慌てて僕が飛び起きた時には、もうすでに葵の足音は階段を下っていっている。
「あれぇ? おかしいなぁ」
昔はご近所様にも仲良し兄妹ということで通っていたのに自分が社会人になって一緒にいる時間が減り、
妹も成長して来たらろくに会話もしてくれなくなっていた。
自分は依然と変わらず妹のことが好きなのに……。
成長とともに魅力的になってくれたのは良いのだが、そのせいで悪い虫も尽きやすくなってしまう。
案の定この春に男から告白され付き合うことになってしまった。
ここは力づくで妹を自分のものにするべきじゃないだろうか。
最初は嫌がるだろうけどお兄ちゃんのものにしてあげた方が将来的には妹の為になる筈だ。
妹自身もそんなどこの馬の骨ともしれないやつから救い出してくれたことに感謝してくれるだろう。
それをどのように実行するかが問題だけど……。
ある日両親の仕事の出張が被り、しばらく妹と二人だけで暮らすことになってしまった。
二人きりになれば親に何も言われず妹を自分のものにできる。
素直な妹を惑す畜生から取り返さなくては。
幸い二人は手をつないだことがある程度の関係らしい。まだ何とかなる筈。
これはそのチャンスと行動に移すのであった。